私たちの考え
各々の国や地域には、人々が気候や風土に合わせて生活を営む中で、歳月をかけて育んできた伝統や文化があります。教団では、法華経の教えを実践する上でも、それぞれの国・地域における良い伝統や文化を大切にしていくべきと考えています。多くの会員が居住する日本では、次のような考え方に基づいて、取り組みを行っています。
皇室
日本は建国以来、皇室を中心に国がまとまり、発展の歩みを進めてきました。国の安泰を願うのは国民の務めですが、その意味において皇室はかけがえのない存在であり、皇室に対する敬慕の心を後世に繋いでいくことが大切と考えます。天皇陛下御在位の慶祝行事などでは多くの会員が参加し、ボランティアで運営にも協力しています。
伊勢神宮
皇室の祖神であり日本人の総氏神とも言われる「天照大御神」をお祭りする神宮(伊勢神宮)。日本人として、神宮を心から崇敬することが大事であると考えています。また、法華経の広宣流布に身命を捧げられた日蓮聖人は、百日間の水垢離と神宮への日参の後、立教開宗を誓われたという故事があります。そこで、教団では毎年一月から三月にかけて、会員代表による参拝を行い、国家安泰と皇室の弥栄を祈念し広宣流布を誓っています。
さらに、二十年に一度社殿を造り替えてご神体をお遷しする「式年遷宮」は、神宮にとって最も重要な大祭であり、同時に日本古来の伝統と文化を次代に継承し保持していくための知恵を結集し、日本人の徳性を象徴する行事と言えます。教団では、昭和三十八年に初めて御遷宮資金を献納して以降、第六十回(昭和四十八年)、第六十一回(平成五年)そして第六十二回(平成二十五年)の式年遷宮に際して、広く会員に御遷宮への奉賛協力を呼びかけています。
家庭や教育
日本人は、古来家庭における子供の躾や教育を大変重視して実践し、家族が社会形成の一翼を担ってきました。しかし、戦後の産業構造の変化とそれに伴う都市文化の形成によって、異なる世代が集う大家族から核家族への転換が進みました。その結果、社会における家族間、世代間のつながりが薄れてきたことで、家庭や家族において培われてきた「感謝」や「思いやり」といった徳性が、徐々に日本人から失われつつあるように思います。これは、法華経で説かれている慈悲の心と相通じるものです。こうした徳性を少しずつ取り戻していくためには、教育の充実、「感謝」や「思いやり」を育む、まさに「心の教育」が不可欠です。私たちは「まず家庭から」法華経を実践することを通じて、人間として、社会人として、大切な心のあり方、持ちようを、親から子に、先祖から子孫に伝えていくことを目指しています。